腕の力がないからか、かばんの持ち方はずーっと斜めがけが好きだった。本当はお坊さんの托鉢のような首かけスタイルが好きだった気もするけど、すぐさま大人に注意されて好きかどうかも分からないうちに終ってしまった。

今は肩への負担がつらくって肘ひっかけスタイルに落ち着いている。おばけを信じる母が「あなたは昔左利きだった(今は右利き)」と言うからか、単に重いだけなのか、かばんは器用に右左ちょこちょこと持ちかえている。


ついでに「あなたが小さい時見えてた母さんの後ろにいる若い男の人って誰だったの？」とか突然メールで送り付けてくる母の言葉を信じる気持ちはほとんどない。おばけを信じてないとかじゃなくて母をそんなに信じてない娘。嫌な娘だ。

とにかく右や左やにかばんをかけてるうちに、とうとう何も持っていない時まで肘曲げポーズで歩くようになっていた。左が肘曲げスタイルになってる事が多くて、たまに右。そしてごくたまに両手。そうなるとまるで




あと２０分、そうしたら私にとって大事なオペが始まる、今まで何度もやってきたし、いつだって冷静にやってきたつもりだ。そう言い聞かせはするものの冷静さを取り戻せない自分がいる。まさか20年前に別れたあの人の体にメスを入れる日がくるとは…まるでその不安を洗い流すかのようにしっかりと肘まで手を洗う。そして手袋をはめ『よしっ』とつぶやきながら手術室へ向かうのであった。みたいな天才外科ドクターの１日っぽいポーズで歩いていたりする。

なんつうか、私、多角的に気持ち悪い